のこさん

私と母方の祖父は、誕生日が同じだった。

家庭の事情で長らく途絶えていたが、
彼が亡くなる三年ほど前から、誕生日に花を贈る形で交流を再開した。

彼は生花を嗜む人だった。

スケジュール帳の誕生日欄には、
「花を贈る」と書いてある。

けれど、ある年。
彼はその日を待たずに旅立った。

自分の誕生日に、
もう「花を贈る」ことができないのだと気づいた。

生きているうちに、花を贈れてよかった。

蟠りがすべて消えたわけではない。
ただ、普通のことができた時間は残った。

生きている相手にしか、贈れない花がある。
あなたから教わりました。
おじいちゃん、応えてくれてありがとう。